現時点(12月3日午前10時現在)では佐賀競馬公式ページには記載がありませんが、専門紙の競馬日本一のblogに掲載されている
1月以降の重賞競走についてによると、1~3月にもともと発表されている花吹雪賞、たんぽぽ賞、佐賀記念、飛燕賞、はがくれ大賞典に加え、7つの重賞競走が新設されるそうです(日本一のにはたんぽぽ賞が載ってないけど、あるんですよねこれは?)。
…これ、正気なの?これらの新設重賞の設定理由は1つしかないでしょう
「IPATで売って貰う為」。現状では基幹競走(JRA開催日は「重賞(賞金の制限なし)」、非開催日は「ダートグレードまたは1着賞金1000万円以上の重賞」)がある日のみがIPATの地方発売が行われるため、これらの「新設重賞」が開催される日はすなわちIPATでの佐賀競馬発売が行われるわけです。しかしねぇ、そんなの基幹競走が無い日でもできるだけIPAT地方発売してくれるようにJRAと交渉(佐賀単独では無理だろうから地方主催者全体とかで)すればいい話なのでは?JRA側としては地方発売始めたばっかでどの程度売ったらいいのかとか、先行のネット投票システム(SPAT4、オッズパーク、楽天競馬)との兼ね合いとかで発売日に一定の縛りをつける意味で基幹競走とか言ってるんだろうし、その辺は3ヶ月やってみて今後は柔軟にやってくれるのではないかと思うのだが。
岩手・福山・高知なども10~12月に重賞新設しているけど、JRA認定競走の制度改定で賞金増額された2歳戦だったり、休止・特別格下されていた重賞の復活であったりと、その当地での競走体系でそれなりに納得のいく重賞でしょう。
しかし、今回の佐賀の新設重賞は競走体系も歴史的いきさつもなしに、単に重賞非開催日の3歳特設、準オープン特別を「重賞」だと言い出しただけ。佐賀弥生賞は名前だけみたらアラブ3歳九州産の重賞だった弥生賞の復活っぽく見えるけど、実際の前身競走となるのは単なるB2特別。こんなのに「重賞」としての意義を見い出せと言われてもそれはちょっと…そもそもこれじゃ重賞の格や権威を自ら貶めてるようなもんだ。JRAなどが新設重賞を作る(あるいは既存重賞の条件変更)ときには「○○路線の重賞体系を整備し、ローテーションの適正化を図るため」とかちゃんと説明するけど、今回の新設重賞群にそういう説明が「競走体系」の視点からできるのかどうか?
そりゃ、アラブ系競走の廃止や、中津・荒尾の廃止で九州競馬としても重賞の数が減り、今やGWや年末年始に重賞が1つもない(昔はこの時期は3場同日に重賞やってたりしたもんだ)ので、この時期に重賞創設してはどうかとか、手薄な短距離路線や牝馬路線の拡充など、重賞路線の再整備をするべきではないかという意見もあるんだけど、いったい誰がこんな「重賞路線」望んだの?
文句ばかり言っていてもしかたがないので、とりあえず今回の新設重賞になるレースが昨年度(今年1~3月)どうだったかをまとめてみた。
月日 | レース名 | 条件 | 距離 | 賞金 | 勝ち馬 | 騎手 | 調教師 |
1月21日 | 筑紫野特選 | 3歳1組 | 1800m | 28万 | エスワンプリンス | 鮫島克也 | 手島勝利 |
1月28日 | 球磨川特別 | A2A3 | 1800m | 60万 | メガチューズデー | 山下貴光 | 山下定文 |
2月11日 | 唐津湾特別 | A2A3 | 1750m | 60万 | エフケーフィル | 山下貴光 | 濱田一夫 |
2月25日 | 嘉瀬川特別 | A2以下 | 2000m | 60万 | デュナメス | 南谷圭哉 | 土井道隆 |
3月10日 | 大観峰特選 | 3歳1組 | 1800m | 28万 | ガルシーズン | 真島正徳 | 真島元徳 |
3月18日 | 弥生特別 | B2級1組 | 1750m | 40万 | マイネルサンリット | 山口勲 | 東美義 |
3月20日 | 松浦川特別 | A2A3級 | 1750m | 60万 | ゴールドレインボー | 山口勲 | 吉田昭 |
…あれ?わりとまともに見えてきた。今年からこうだったらメガチューズデーやエフケーフィルが復活の重賞勝利で、エスワンプリンス、デュナメス、ゴールドレインボーはここが重賞初制覇になったわけか。いやさすがにマイネルサンリットはどうかと思うが。
ちなみに日本一に掲載されている競走条件には1着賞金は書かれてないし、3歳or3歳以上オープンと書いてあるけど、そもそも本当に「オープン」なんだろうか?実際に施行されてみれば賞金も出走条件も元のまんまで「3歳以上オープン(実質A2A3級)の重賞」と同じ開催にそれより賞金の高い「オープン特別」が従来どおりに組まれているとかなんじゃなかろうか。3月16、17、23日の同一開催内のうち3日で佐賀弥生賞(新設)、はがくれ大賞典(既存)、松浦川賞(新設)と「3歳以上オープン」の重賞が3つあるってどう考えてもまともな編成じゃないでしょうに。
一応、地方競馬ではもうやってるとこもあんまり無くなってきたけど「条件級重賞」というカテゴリーはあるんですよ(というか、「条件級重賞」があるから対義語の「D重賞」があるんだけど、こっちも最近あんまり使われないね)。佐賀だと2000年以前の中島記念や、佐賀競馬リーディングジョッキー特別、西日本騎手招待が条件はB級だけど重賞扱い。ただ、中島記念はともかくあとの2つは「騎手の重賞」だともいえるし。今回のがオープンだといいながら本当はA2級以下だの3歳条件だので実質的な「条件級重賞」だったとしても、それをこんなに連発してる主催者はいないよ(正月開催の名古屋は連発っぽいけど、それは正月開催だからだしなぁ)。
あと、1~3月の時点で既に重賞12個とかになってんだけど、仮にこれ全部同じ騎手が勝ったりしたら、それはやっぱり「佐賀(九州)競馬の年間最多重賞記録」として認めなけりゃいけんのでしょうか?しかも、4月以降もこの調子で重賞乱発されたりしたら…単純計算だと年間重賞44個とかになるな(もっとも、春以降は岩手とか冬季休催が明けるんで、重賞非開催日が減るからここまで乱発はしないでしょうけど)
で、IPATの基幹競走の「重賞」が「条件級重賞」でもOKなら、どーーーしても今回の新設重賞の日に「重賞」を行わなければなんないんだったら、こんな条件ではどうでしょうか?
月日 | げんじつ!! | もうそう!! |
1月19日 | 第1回筑紫野賞 | 3歳オープン | 1750m | 第17回ニューイヤーカップ | 3歳格付佐賀登録馬 | 1800m |
1月26日 | 第1回球磨川賞 | 3歳以上オープン | 1800m | 第29回中津大賞典 | 3歳以上オープン | 2400m |
2月9日 | 第1回唐津湾賞 | 3歳以上オープン | 1750m | 第1回佐賀だだばしりスプリント | 3歳以上オープン | 900m |
2月23日 | 第1回嘉瀬川賞 | 3歳以上オープン | 2000m | 第27回サガ・クイーン賞 | 3歳以上牝馬オープン | 1800m |
3月09日 | 第1回大観峰賞 | 3歳オープン | 1800m | 第31回荒尾記念 | 3歳オープン | 1400m |
3月16日 | 第1回佐賀弥生賞 | 3歳以上オープン | 1750m | 第29回弥生賞 | 九州産3歳以上オープン | 1750m |
3月23日 | 第1回松浦川賞 | 3歳以上オープン | 1750m | 第11回佐賀競馬リーディングジョッキー特別 | B2級(騎手選抜) | 1800m |
妄想日程乙ではあるけど、ニューイヤーCやサガ・クイーン賞はもともとこのあたりの時期にやってたんで、復活させてもいいと思うんだけど(※実際にはニューイヤーCは飛燕賞が後継重賞です)。で、飛燕賞を1400mにしていいなら荒尾記念は2000メートルで実施だな。
まぁ、決まっちまったもんはしょうがないとして、IPAT発売を見越してのものなら、増収の見込みがあんだろうから、ネットで買う人の見栄えをよくするためにもせめてメインの重賞だけでも
馬名ゼッケン復活させましょうよ。あと、来年度以降IPATの発売対象レースのルールが変わったら
果たして、これらの新設重賞群の「第2回」はあるのか?も注視しとかなきゃならんですわ。
あと、(多分98年ぐらいから)日程が2場以上で重複して両方は絶対に無理なケースを除いては、九州3場の重賞はほとんど現地観戦してるけど(「九州競馬」になって以降で見てないのは多分4つくらい)、これには「条件級重賞」や「準重賞」(公式に呼称していたわけではないが、一時期の荒尾はJRA条件交流戦や通潤橋/江津湖スプリンターカップは開催告知等で「準重賞」の表記を使っていた)を含んでないので、今度の新設重賞が本当に条件級重賞だったら、現地観戦するのはやめよっかな?
あ、今まで「KJ」だったローカルグレードが既存重賞は「S1」で新設は「S2」ってなってるな。ていうことは、これらの
なんちゃって重賞新設重賞は
佐賀重賞ディヴィジョン2ってカテゴリー、というわけなのかな。